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2005.05.08 17:12

2~3日前、カンチが1枚のプリントを持って帰ってきた。
「母ちゃん、土曜日までに先生に出すねん。書いといてな。」
見ると、授業か何かで使うのだろう、子どもが生まれたときの様子を記載するようになっているプリントだった。

早速母子手帳を出してきて、カンチが生まれたときの体重と身長を見てみた。
体重=2880グラム。
身長=47,5センチ。
私の体格から言えば、決して大きいほうでなく、むしろ小さいほうで、そして安産だった。
カンチはとっても元気な男の子だった。

前夫と結婚して1ヶ月経つ頃に、私はカンチを妊娠した。
私は子どもが欲しくて欲しくて仕方が無かったので、この自然な現象にすごく喜んだ。
妊娠するってこんなに幸せなのかと思うくらい、カンチの小さい命を、まだ全然大きくなっていないお腹に感じていた。
「こんな自分が母親になれるんだろうか」「子どもを育てるのは大変」「うまく育児できるんだろうか」など、いろいろ聞くと不安を抱える妊婦さんはすごく多いのだが、そういうことを微塵も感じることなく、心からうれしかった。
もしかしたら、私が助産婦と言うこともあるのかもしれないけれど、でもそれだけじゃないとも思う。
カンチと会える日を、待ち遠しく思った。

妊娠中はつわりがひどく、独身時代から仕事を続けていた私だったが、つわりで仕事を休むことは無かった。
しかし一度、あまりにもしんどくて休みをもらったことがあったのだが、一日中家に1人でいると、余計つわりが重く感じ、トイレに何度も駆け込んだ。
頭の中は、つわりのことばかり。
テレビを見ても、雑誌を見ても、このつわりから逃れることは出来ない。
そう、あの乗り物酔いのあの感じ。
二日酔いのむかむか感。生唾が出る。
頭が痛い。眠い。
あれが一日中、続くのだ。

妊娠初期は少し大きくなった子宮が膀胱を圧迫するので、夜中であろうと、トイレに行く回数が多くなる。
そしてトイレに行きたくて夜中に目が覚めても、トイレだけでは済まないのだ。
必ず吐いてから布団に入る。
そんな日が私の場合、妊娠23週くらいまで続いた。
胎動を感じてからは、うれしさもあり少しはましになったけど。

そんなつわり状態なので、家でじっとしているより仕事で仲間や先輩や入院中の産婦さんと話をするほうが、ずいぶん気がまぎれた。
トイレに行く回数も嘔吐する回数も同じでも、気分的にずいぶん違う。
私は仕事を、何が何でも頑張った。
ただ、通勤電車にだけは参った。
こみ上げてくる嘔気を、次の駅まで我慢しなければならないのだ。
1時間半かかる通勤時間を、3~4駅で1回降りてトイレに駆け込み、吐いて少しましになったら又電車に乗る。
そんな毎日が続いたが、私は妊娠を辛いと思ったことは無かった。
つわりは確かに、もちろん辛かったが、つわりがあることで、お腹のカンチが元気でいることが確かめられたので、反対に安心できたほどだった。
だから、頑張れたのかもしれない。

妊娠17週になって、私は初産婦には珍しいくらいの早い時期に、胎動を感じるようになった。
初めは、あのまぶたがピクピク痙攣するような感じ(わかる?)だったのが、月日が経つとしだいにはっきり感じられるようになる。
途中、カンチは逆子になってしまい、そのときはカンチが思いっきり私の膀胱を蹴るので、トイレに行きたいような行きたくないような、そんな妙な感じがあり、でもあれはやっぱり気持ち悪かった(笑)
カンチは私のお腹の中でとてもよく動き、時にしゃっくりをしたりもした。
本当に元気だった。

妊娠30週頃に切迫早産と言われた以外(1ヶ月仕事は休んだが、つわりはもう無かったので楽だった)妊娠経過は順調で、私は予定日の次の日に、陣痛で夜中に目が覚めることとなった。
もうすでに、お腹の赤ちゃんは男の子とわかっている。
いよいよカンチに会えるんだ。
陣痛でお腹が痛いのに、心臓はとてもどきどきしていた。
カンチを元気に産んであげなければ、と思っていた。

私は助産院でカンチを産んだ。
その助産院は、私が助産婦学校で実習・研究でお世話になった所だ。
そこの院長である助産婦は(助産院は医師ではなく、助産婦が主となって正常分娩を扱うところ)大先輩だ。
私のお産を、すごく楽しみにして下さっていた。

ちょうどある助産婦学校の実習にあたり、私のお産は前夫の立会いと、助産婦学生数名・院長の助産婦・介助の助産婦といった、多分あまり産婦さんが経験されないようなお産の雰囲気で、大勢の方が、私のお産を見守ってくれた。
そんな中で、カンチが産まれた。
最後までカンチの心音は下がらず、私はカンチを元気に産むことが出来た。

初めて見る顔。カンチの温もり。
やわらかい感触。大きな泣き声。
10ヶ月も、私のお腹にいたカンチ。
ああ、あなただったの。私のお腹にいたのは。
あなただったのか・・・。
初対面なのに、初対面ではない関係。
母親と子どもって、不思議な感覚で、初めてのご対面をするんだな。
私はとても幸せだった。

「ぼく・わたしがうまれたとき」
そんなタイトルのプリントを眺めながら、カンチと初めて会ったときの、このときのことを思い出した。
何も考えることなく、つらつらと私はそのプリントに書いた。
お腹にいたときのお母さんの気持ち、生まれたときのこと、名前の由来など、私はボールペンを走らせた。
「はい。書けたよ。」
「うん。」と、カンチはそのプリントを受け取って、ファイルに入れようとした。
「ああ、読んだげようか。」
「いいよ。学校で読むから。」
「いいよ。今読みたいねん、お母さん。」
私は書いてあることを、カンチに読んで聞かせた。
カンチは少し照れくさいのか苦笑いしていて、そしてそのプリントを受け取り、再びファイルに入れなおし、ランドセルをしょって学校へ行った。

カンチが生まれたときのことを、きちんと話すことはとても大事だ。
私1人で子どもなんて作れるはずもなく、カンチには父親がいる。
こんなとき、少しせつない。
でもそのときはカンチの父親だって、カンチの誕生を喜んだはずだ。
そう思いたい。
少なくとも私はそう思って、これからもカンチと生きていかなくちゃいけない。
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テーマ : 子育てのつぶやき - ジャンル : 育児

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